フランスの自動車大手ルノーは6月30日、高い競争力を持つ、持続可能な電気自動車(EV)の生産加速に向けた新たな戦略を発表した。今後10年間でEVバッテリーの製造コストを60%削減し、EVをより手頃な価格で提供することを目指す。これにより、2025年には欧州市場における自社ブランド車両のうちEVの販売を65%以上に、30年までにはこれを最大90%に引き上げたい考え。
同社はかねて、30年までに自社ブランド車両の総販売台数のうち90%をEVとハイブリッド車(HV)で占める計画を掲げている。今回の戦略では、HVに頼ることなく、目標達成を目指すという。
同社は今後、EVの低価格化に向け、バッテリー製造コストを25年に1キロワット時当たり100ドル未満にし、30年には80ドル未満に低下させる。また、電動モーターの製造コストを30%減らすほか、よりコンパクト化させ、航続距離の伸長も図るという。
さらに、25年までに、新たに10車種のEVを投入する。うち7台をルノーブランドで占める計画で、クラシックカーの「ルノー・4」モデルや「ルノー・5」モデルを電動化させるという。
ルノーはこれに先立ち、EV向けバッテリー開発・製造に向けて、2社と提携すると明らかにしている。うち、中国の遠景集団(エンビジョングループ)傘下のエンビジョンAESCは今後、フランス北部ドゥエ(Douai)にギガファクトリーを建設し、2024年にバッテリーセルの生産を開始する。これに向けルノーは最大20億ユーロを投じる。新興企業ベルコル(Verkor)とはEV向け高性能バッテリーを共同で開発・製造する。ベルコルは、ルノーから出資を受け、22年初めに研究開発(R&D)拠点を設けるほか、バッテリーセルの試験製造ラインを設置する。その後、国内でのギガファクトリー建設に着手する見込み。
また、フランス北部の3工場を統合し、EV生産拠点「ルノー・エレクトリシティー(ElectriCity)」を設立する方針も示している。同拠点では25年までに、年間40万台の生産を目指す。
ルノーはこれらのEV戦略を基に、30年までに、欧州でのEV生産100万台突破を達成したい考え。
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