金融情報サービス会社IHSマークイットは23日、6月のユーロ圏総合PMI(購買担当者景気指数、速報値)が59.2となったと発表した。5月から2.1ポイント上がり、過去15年で最高を記録。景気の「改善」と「悪化」の境目である50を4カ月連続で上回っている。
ユーロ圏の製造業PMIは63.1と、前月から横ばいだった。新規受注は新規事業で力強い伸びを見せ、雇用は過去約3年半で最も拡大した。仕入れ価格の伸びは過去最高を記録し、出荷価格は5カ月連続で上昇している。
製造業PMIの国別データを見ると、ドイツは64.9と前月から0.5ポイント上昇。フランスは0.8ポイント下がって58.6だった。
ユーロ圏総合指数のうち、生産高と新規受注はいずれも過去15年で最高の伸びを記録。仕入れ価格の伸びは2000年9月以降で最も加速し、出荷価格の上昇幅も過去最大だった。
■サービス業は独仏とも上昇
ユーロ圏のサービス業PMIは58と前月から2.8ポイント上昇し、18年1月以降で最高を記録。国別ではドイツが58.1と5.3ポイント伸び、過去10年超で最高となったほか、フランスも0.8ポイント上がって57.4と、過去3年超で最も高い。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは今回の結果について、製造業で見られた需要急増による景気回復の波はサービス業にも広がっているとコメント。新型コロナウイルス関連の規制が7月にはさらに緩和される見込みで、ワクチン接種が進展していることから特にサービス業が活況となったほか、生活が徐々に通常に戻るという明るい見通しが雇用拡大などに影響したと説明した。第3四半期(7~9月)にはさらに力強い成長が続くとみる一方、景気回復の強さゆえに世界的に原材料と人材の不足が懸念されると指摘。今後数カ月はインフレ率のさらなる上昇圧力がかかることは避けられないとした。
■英は低下も高水準
6月の英国の総合PMI(速報値)は61.7と、前月から1.2ポイント低下。それでも、統計開始以降で最大の伸びを記録した前月から高水準が続いている。雇用は統計開始以降で最も拡大。新規受注は引き続き伸び、事業見通しも好調を維持している。
製造業PMIは64.2と、1994年7月以降で最高を記録した前月から1.4ポイント低下。サービス業PMIは1.2ポイント下がって61.7だった。
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