英国の製薬大手アストラゼネカによる欧州連合(EU)へのワクチン供給量を巡る争いを審理していたベルギー・ブリュッセルの第一審裁判所は17日、アストラゼネカに対して9月27日までにワクチン8,020万回分を供給するよう命じた。EUが求めていた3億回分を大きく下回り、アストラゼネカは判決を歓迎したが、EU側も言い分が一部認められたと主張している。
欧州委員会によると、裁判所は9月27日までの供給分のうち5,000万回分について、7月26日までに1,500万回分、8月23日までに2,000万回分、9月27日までに1,500万回分を供給するよう命令。達成できなかった場合は、不足したワクチン1回分につき10ユーロを支払うよう条件を付けた。
アストラゼネカは今回の判決を受けて、裁判所は9月末までに3億回分を供給するよう求めた欧州委の言い分を受け入れなかったと歓迎。EUに対しては既に7,000万回分を供給しており、6月末までには8,020万回分を超えるとの見通しを示した。
しかし、欧州委のフォンデアライエン委員長は「裁判所はアストラゼネカが契約を履行しなかったことを認めた。独立した立場の裁判所がこの事実を認めたことはよいことだ」と同じく判決を歓迎するとの立場を示し、双方が「勝利」を宣言する形となった。
もともと、欧州委はアストラゼネカに対し、6月末までに1億2,000万回分、9月末までに3億回分を供給するよう要求していた。しかし、実際の供給量はこれを大幅に下回っており、欧州委は、アストラゼネカは英国などEU以外を優先していると批判していた。
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