主要7カ国(G7)は4、5両日、ロンドンで財務相会合を開き、各国共通の最低法人税率を15%以上とする案を支持することなどで一致した。7月のG20財務相・中央銀行総裁会議での合意を目指す。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)開始以降に対面でG7財務相会合が開かれるのは、今回が初めて。G7は11~13日に英イングランド南西部コーンワルで首脳会議(サミット)の開催を予定しており、財務省会合はその準備となる。
法人税の国際的な最低税率を15%とする案は米国が提案した。米グーグルやアップルなどの巨大な多国籍企業が影響を受けるもので、G7財務相は最低法人税率の他に、そうした企業の利益の一部に対する課税権を、企業が本拠を置く国ではなく、売り上げが発生した国にも与える方針でも合意した。経済協力開発機構(OECD)での協議も呼び掛けられており、今回の決定で交渉が加速するとみられる。
議長国である英国のスナク財務相は「長年にわたる議論の末、グローバルな課税制度で歴史的な合意に達した。グローバル化とデジタル化が進む時代に適合させるため、然るべき企業が、然るべき税金を、然るべき国に払うことになる」と満足感を示した。
国際的な税制改革では、「デジタルサービス税(DST)」の導入も検討されている。大手テクノロジー企業が実際に利益を上げた国で課税されるもので、英国とフランス、イタリアは既に導入を決めていた。ただ、今回の新しい国際課税ルールが適用された場合、デジタルサービス税は廃止を視野に調整が行われるという。
G7財務相会合の共同声明ではこのほか、新型コロナウイルス危機からの経済復興を促すため、「政策面での支援を必要な限り長く続ける」と共に、気候変動対策や社会的格差の解消にも対処する方針が示された。また、「新型コロナウイルス・ワクチンの平等かつ安全、安価な入手」の実現を促している。
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