経済協力開発機構(OECD)は5月31日に発表した世界経済見通しの中で、ユーロ圏の今年の域内総生産(GDP)が前年比4.3%拡大するとの見通しを示した。新型コロナウイルスワクチンの接種が進むにつれて経済回復が力強さを増すとして、3月の前回予測から0.4ポイント引き上げている。
ユーロ圏の来年については4.4%の拡大と、前回から0.6ポイント引き上げた。ただ。来年末時点でもパンデミック(世界的大流行)以前の成長予測の水準を下回ったままになるという。
国別に見ると、ドイツの今年の成長率見通しは3.3%と0.3ポイント上方修正したほか、来年は0.7ポイント引き上げて4.4%とした。フランスは今年は0.1ポイント引き下げて5.8%、来年は前回から0.2ポイント引き上げて4%としている。イタリアは今年が4.5%、来年は4.4%と、いずれも0.4ポイント引き上げた。
英国については、今年は7.2%と前回予測から大きく2.1ポイント引き上げた。来年も0.8ポイント上方修正し、5.5%としている。
一方、1人当たりGDPがパンデミック以前の水準に戻る時期については、ドイツは今年末以降になると予想。イタリアと英国は来年第2四半期(4~6月)末以降、フランスは第3四半期末以降にずれ込むと見る。
世界経済の成長率は今年が5.8%、来年が4.4%と、前回からそれぞれ0.2ポイント、0.4ポイント引き上げた。ただワクチンの接種状況や財政支援の規模、深刻な打撃を受けた業界が経済に占める重要性などにより、各国で大きな開きが出ると予想する。また、発展途上国を中心に新たな変異株などのリスクが依然として高い一方で、先進国ではパンデミックの際に増えた貯蓄が消費に向かうため、成長が予測水準よりも高くなる可能性もあるとの見方を示している。
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