金融情報サービス会社IHSマークイットは21日、5月のユーロ圏総合PMI(購買担当者景気指数、速報値)が56.9となったと発表した。4月から3.1ポイント上がり、過去3年超で最高を記録。景気の「改善」と「悪化」の境目である50を3カ月連続で上回っている。
ユーロ圏の製造業PMIは62.8と、前月から0.1ポイント下がった。新規受注はわずかに落ち込んだものの、過去3番目の高水準を維持。雇用ペースも加速した。仕入れ価格と出荷価格の伸びはいずれも過去最高を記録している。
製造業PMIの国別データを見ると、ドイツは64と、前月から2.2ポイント低下。フランスは0.3ポイント上がって59.2だった。
ユーロ圏総合指数のうち、生産高は2018年2月以降で最高を記録。新規受注は15年弱ぶりの増加幅となった。仕入れ価格の伸びは11年3月以降で最も加速し、出荷価格の上昇幅も過去最高に達した。
■サービス業は仏独が好調
ユーロ圏のサービス業PMIは55.1と前月から4.6ポイント上昇し、18年6月以降で最高を記録。国別ではドイツが52.8と2.9ポイント伸びたほか、フランスも6.3ポイント上がって56.6となり、いずれも過去10カ月で最も高い。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは今回の結果について、新型コロナウイルスの感染防止策の緩和が続いていることから、製品・サービスにおけるユーロ圏全体の需要が過去15年で最も拡大しているとコメント。ただ、サプライチェーン(調達・供給網)の大幅な遅延や、事業再開に向けた人材確保といった問題がなければ、さらなる成長が期待できたとも指摘。また、需要と供給の不均衡が価格のつり上げ要因となっており、インフレ圧力がどのくらい続くかは、供給が需要にどれだけ早く追い付くかによると説明した。
■英は統計開始以来の高水準
5月の英国の総合PMI(速報値)は62と、前月から1.3ポイント上がり、統計を開始した1998年1月以降で最高を記録した。雇用は2014年6月以降で最も拡大。事業見通しは過去最高に達した。
製造業PMIは66.1と5.2ポイント上昇し、こちらも統計を開始した92年1月以来で最高となった。サービス業PMIは0.8ポイント上がって61.8と、過去8年弱で最高値となった。
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