欧州連合(EU)と米国は17日、トランプ前米政権が2018年にEU産鉄鋼・アルミニウムに課した追加輸入関税を巡る紛争の解決に取り組むことで合意した。EUはこれに向け、6月に予定していた報復関税の導入を延期する。6月に予定されるバイデン米大統領のEU訪問に向け、一時的に矛を収める格好となる。
欧州委のドムブロフスキス通商担当委員と米通商代表部(USTR)のタイ代表およびレモンド米商務長官は、オンライン会談後に共同声明を出し、「米国がEUからの輸入品に科した関税を巡る世界貿易機関(WTO)紛争を終結させる道を模索する」と発表。「こうした共同取り組みに向け、できるだけ建設的な環境を確保するため、両者間の関係を悪化させる変更は避けることで合意した」としている。
ロイター通信によると、EUは6月1日に予定していた報復関税の導入を最長6カ月延期する。追加の報復関税が導入されれば、米国産の化粧品や運動靴が新たに対象となるほか、ウイスキーやオートバイなどに対する関税率が現行の25%から50%に引き上げられる予定だった。
米国とEUは併せて、世界的な鉄鋼・アルミニウムの供給過多問題についても協議することで合意した。年内に解決策を示すとしている。共同声明は、中国などの過剰生産に起因する供給過多が競争をゆがめ、欧米の鉄鋼・アルミ産業に深刻な影響を及ぼしていると指摘。「高い基準を振興するとともに、共通の懸念に対処し、中国など産業をゆがませる政策をとる国に説明責任を求める」としている。[EU規制]
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