ドイツの連邦議会(下院)は21日、連邦政府が全土で一律に新型コロナウイルス対策の規制措置を導入できるようにする感染保護法の改正案を賛成多数で可決した。州政府に任せていた実施権限を連邦政府に移管し、感染者が増加している地域に対する「緊急ブレーキ措置」を徹底させる狙い。
今回の法改正により、直近1週間の人口10万人当たりの感染者数が3日連続で100人を超える地域では、午後10時から翌午前5時までの夜間外出が禁止となる。生活必需品以外の店舗利用には予約が必要となるほか、事前検査で陰性だった場合のみ入店が許可される。私的な集まりについては、14歳未満を除く1世帯の最大1人までとなる。
さらに、同感染者数が165人を超えた場合は、学校の対面授業が禁止される。
ドイツ全土の21日時点の同感染者数は160人を超えており、うち6州が165人を上回るなど、感染率の高止まりが続いている。
メルケル首相は「厳しい制限だということは承知している」とした上で、「感染率の急増を食い止めるためには、連邦政府と州政府、地方政府の結束が必要だ」として理解を求めた。
この法案は22日に連邦参議院(上院)で審議され、承認された場合は6月30日まで適用される。議会の承認を得れば、延長も可能という。
一方、ベルリンでは同法案に反対するため約8,000人が抗議デモを行うなど、反発の声も広がっている。
これまで規制措置を巡っては連邦政府と州政府が協議し、実施は各州政府の判断に委ねられていたため、各州は連邦政府と合意した規制を実施しない場合があった。特に最近では、人口10万人当たりの感染者数が100人を超える地域では規制緩和を撤回するという合意を実行しない州があり問題となっていた。
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