欧州委員会は14日、新型コロナウイルス危機を受けた復興計画に必要となる資金約8,000億ユーロの調達戦略を公表した。2026年まで毎年、総額で約1,500億ユーロの債券や短期証券を発行する方針。また、全体のうち30%をグリーン債で調達するとしている。
EUは、総額7,500億ユーロの復興計画で合意しているが、これは18年の物価に基づく金額で、現時点の物価に換算すると約8,000億ユーロが必要となる。欧州委はこれを、グリーン債を含む償還期限3~30年の中・長期欧州連合(EU)債と、満期1年未満のEU短期証券(EUビル)を組み合わせて調達する計画。いずれも58年までに償還を終える。
欧州委は今後、公認の金融機関から成るプライマリー・ディーラー・ネットワークを構築し、これを通じて債券などの発行を行う。
年間の借入額は1年ごとに決定し、半年ごとに投資家向けの詳細な調達計画を公表する。欧州委は、第1回目の決定は夏までに下すとしている。ただしこれは、EU予算に対するEU加盟各国の保証額の上限を、58年まで従来の域内国民総所得(GNI)の1.4%から2%に引き上げる法案が成立することが条件となる。
ロイター通信によると、8,000億ユーロのうち、3,380億ユーロは加盟各国への補助金、3,860億ユーロは加盟各国への融資に充てられ、残りはEU共通プログラムに振り向けられる。
加盟各国は、今年の割り当て分のうち13%を前金として受け取ることが可能。ハーン予算・管理担当委員は、全加盟国が補助金の前金を同時に要求すれば、第3四半期(7~9月)の借入額が450億ユーロに達する可能性もあるとの見方を示している。
EU政策専門サイトのユーラクティブによると、これに加えて各国が融資の前金も要求した場合、必要な資金は倍増することになる。同委員はそれでもなお「調達可能」としているが、各国への前金支給を同時に行うのは不可能となり、7月と9月に分割で行われる可能性もあるもようだ。[EU規制][環境ニュース]
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