フランスの水道・廃棄物処理大手ヴェオリア・エンバイロメントと同業スエズは12日、合併の主な条件で原則合意したと発表した。スエズは約半年にわたり、ヴェオリアによる買収に抵抗を続けてきたが、ヴェオリアが買収提示額をスエズ株1株当たり20.5ユーロに引き上げたことなどを受け、交渉がようやくまとまった。両社を合わせた年商は約370億ユーロと、公益事業分野の巨大企業が誕生する見通し。
買収額は、スエズ株1株当たり20.5ユーロ。フィナンシャル・タイムズによると、ヴェオリアはこれをスエズの企業価値を約130億ユーロと見積もった水準としている。
ヴェオリアは昨年10月、フランスのエネルギー大手エンジーが保有するスエズの株式29.9%を1株当たり18ユーロで取得することで合意し、2月には同条件で残り株の株式公開買い付け(TOB)に乗り出していた。関係者によると、買収額が引き上げられたことを受け、エンジーは差額を受け取る見通し。
両社はこのほか、合併後のスエズ事業の範囲について、フランスでの水道・廃棄物事業と、イタリア、チェコ、アフリカ、中央アジア、インド、中国、オーストラリアの主に水道事業、国際的な環境技術事業とすることで合意した。ヴェオリアは、「新スエズを一貫性と持続可能性を備えた売上高約70億ユーロのグループとして確立する」としている。
両社は5月14日までに正式な合併契約を締結することで合意している。
スエズはヴェオリアによる買収提案に対し、提示額が低すぎるとして一貫して反発していた。先には、ヴェオリアがスエズの「戦略的資産」と見なすオーストラリア事業を同国の廃棄物処理大手クリーンアウェーに売却することで合意。また、ヴェオリアがスエズを買収した場合に競争当局からの承認獲得を困難にするため、スエズの国内水道事業を一定期間、売却できなくする手立てを講じていた。
今回、両社が合併で合意したことを受け、これらの計画は撤回される。
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