欧州連合(EU)は22日に開いた外相理事会で、中国・新疆ウイグル自治区における重大な人権侵害に関与したとして、当局者4人と1団体を経済制裁の対象に指定した。EUが中国の人権問題を巡り制裁を科すのは、1989年の天安門事件後の武器禁輸以降で初めて。
制裁の対象となったのは、新疆ウイグル自治区の治安当局トップの陳明国氏ら4人と、新疆生産建設兵団公安局。EUは、陳氏が「ウイグル族などムスリムの少数民族を恣意的に拘束し、屈辱的に扱ったほか、宗教と信条の自由を組織的に侵害した」としている。これらの人物は、EUへの渡航が禁止されるほか、域内で保有する資産が凍結される。
中国政府はこれを受け、ただちに報復的な経済制裁を科した。EU理事会の政治・安全保障委員会や、欧州議会の人権委員会、ドイツのメルカトル中国学研究所、デンマークの民主主義連合財団に加え、欧州議員5人を含む10人が制裁対象に指定されている。これらの個人は中国への入国や中国との取引が禁止される。
中国政府はEUの制裁について「嘘と偽情報のみを根拠とする措置」と反発。「重大な内政干渉で、国際法や国際関係の基本的な規範に反する」と非難している。
ロイター通信によると、人権団体や国連は、新疆ウイグル自治区で100万人以上が隔離施設に強制収容されたとみている。また、強制労働や拷問、強制的な避妊手術が行われているとの見方もある。オランダ議会は先に、中国政府がウイグル族のジェノサイド(民族大量虐殺)を行っているとの決議を可決していた。中国政府は一貫してこうした疑いを否定している。
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