英政府は15日から、新型コロナウイルスの感染拡大がより深刻と見なされた「赤」リストの国からイングランドへの帰国者に対し、政府指定の宿泊施設で最長10日間の自主隔離を義務付けると明らかにした。対象国は南アフリカや南米諸国、ポルトガルなど33カ国に拡大されている。1月末の発表から実際の導入までに期間が空き、最大野党・労働党は国外からのウイルス変異株流入の水際対策としては「遅すぎる」と批判の声を上げている。保健・社会福祉省の発表を元に、BBC電子版などが伝えた。
対象となるのは、変異株の流行が著しいポルトガルや南アのほか、ブラジル、ペルー、エクアドル、アラブ首長国連邦(UAE)、アンゴラなど33カ国。先の発表から10カ国追加されている。
これらの国からの帰国者は到着後すぐに指定のホテルで10日間の自主隔離に入る。食事は1日3食を部屋でとり、紅茶やコーヒー、果物も提供される。たばこを吸ったり、外の空気を吸いに部屋から出る際は警備員が同行する。宿泊費用は全額、帰国者が負担する。ホスピタリティー業界の関係筋によると、政府は1泊1人当たり80ポンドと試算しているという。
指定施設は、ヒースローやガトウィック、バーミンガム、マンチェスター、エディンバラ、グラスゴーなどの空港や港に近いホテルとなる見込み。保健・社会福祉省の報道官は、同省は現在、15日の導入開始に向けて自主隔離施設の確保などの準備を急いでいると説明した。政府は正式発表に向けて航空やホテル業界の代表と協議を重ねており、週明けには施設の予約方法などのさらなる詳細が確定する見通し。
こうした中、労働党は導入が遅すぎると批判するとともに、帰国者全員に宿泊施設での隔離を義務付けるべきと訴えている。
政府は現在、帰国者全員に対し出発前3日以内に受けた感染検査の陰性証明の提示を義務付けており、ホテルでの隔離措置導入後も継続する方針。なお、英国籍や長期滞在許可証などを持たない者の入国は既に禁止されている。
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