欧州議会(定数705)は21日、在宅勤務の従業員が勤務時間外に連絡を拒否できる「つながらない権利」の法制化を求める案を採択した。新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が拡大する中、24時間「スイッチオン」の文化が労働者の精神面に悪影響を及ぼす可能性があるため。
欧州議会は、472対126の賛成多数でこの案を可決した。今後、欧州委員会に「つながらない権利」を定めた欧州連合(EU)指令案の策定を正式に要請する。指令案では、在宅勤務の最低要件や労働条件、勤務時間、休憩時間などを明確化することも求める。
「つながらない権利」は、勤務時間外に電話や電子メールなどのオンライン通信に応じることを拒む権利。欧州議会はこれを労働者の基本的な権利とみなし、EU加盟各国に対しても、労働者が「つながらない権利」を行使できるよう、必要な措置の導入を促している。
欧州議会の議論では、在宅勤務により雇用が守られる一方で、常に「オン」の文化が仕事と私生活のバランスに悪影響を及ぼしているとの意見が相次いだ。また、長時間労働と仕事の量の増加が不安やうつ、燃え尽き症候群などの健康問題につながっていると指摘されている。
EU域内の労働条件の改善を目指す財団ユーロファウンドが発表した報告によると、日常的に在宅勤務を行う人は職場に通勤する人と比べて、1週間当たりの労働時間がEU法で定められた上限の48時間を超える比率が2倍以上高い。また、毎日または週に数回、自由時間にも仕事をすると答えた人の比率は、通勤者では5%未満だが、在宅勤務者では30%近くに上っている。[労務][EU規制]
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。