欧州連合(EU)は10~11日に開いた首脳会議(サミット)で、新型コロナウイルス危機を受けた総額7,500億ユーロの復興計画と、これを含む総額約1兆8,000億ユーロの中期予算で合意した。拒否権発動を示唆していたポーランドとハンガリーが妥協案を受け入れたことを受け、全会一致で承認した。
ミシェルEU大統領はツイッターで、「これで予算の実行と経済復興に着手できる」とコメント。「画期的な復興計画により、グリーン化とデジタル化を推し進める」としている。
復興計画の資金のうち3,900億ユーロは、加盟各国への補助金が占め、欧州委員会がEU債発行により調達する。残りは加盟各国の経済回復に向けた融資に宛てられる。予算の成立を受け、EUはこのサミットで2030年末までに温室効果ガス排出量を1990年比で少なくとも55%減らす目標も承認した。
EUは7月、総額7,500億ユーロの新型コロナウイルス危機からの復興計画を承認するとともに、EUの2021~27年の「多年次財政枠組み(MFF)」の規模を1兆743億ユーロとすることで合意。その後、加盟各国と欧州議会の間で、法の支配の順守を復興計画の支援条件とするメカニズムや予算の詳細をまとめたが、ポーランドとハンガリーは法の支配を条件に組み込むことに反発し、予算承認を拒否していた。
フィナンシャル・タイムズによると、両国が受け入れた妥協案は、法の支配の順守を支援条件とするメカニズムをMMFにのみ適用するとともに、欧州委がこれを活用する前に加盟国が欧州司法裁判所でその合法性を問うことを可能にする内容。この案に法的拘束力はないものの、これにより両国は同メカニズムで名指しされることを回避できるもようだ。[EU規制][環境]
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