金融情報サービス会社IHSマークイットは23日、11月のユーロ圏総合PMI(購買担当者景気指数、速報値)が45.1ポイントとなったと発表した。10月から4.9ポイント低下し、過去6カ月で最低を記録。景気の「改善」と「悪化」の境目である50ポイントを下回った。
ユーロ圏の製造業PMIは53.6ポイントと、前月から1.2ポイント下落。新規受注の拡大ペースは過去5カ月で最も減速した。一方、生産高は増加を続けている。仕入れ価格の伸びは過去2年近くで最大となり、出荷価格はわずかに上がっている。
製造業PMIの国別データを見ると、ドイツは57.9ポイントと、前月から0.3ポイント低下した。フランスは2.2ポイント下がって49.1ポイントと、分岐点割れに沈んだ。
ユーロ圏総合指数のうち、生産高は6月ぶりに減少。新規受注は大きく減り、雇用の削減ペースは前月から横ばいだった。仕入れ価格の伸びは減速し、出荷価格は9カ月連続で落ち込んでいる。
■サービス業は軒並み悪化
ユーロ圏のサービス業PMIは41.3ポイントと、前月から5.6ポイント低下。国別ではドイツが46.2ポイントと3.3ポイント下がり、フランスは8.5ポイント下落して38ポイントと、共に過去6カ月で最低に沈んでいる。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは今回の結果について、ユーロ圏経済は、新型コロナウイルスの封じ込め策の再導入により、深刻な停滞状態に逆戻りしたと説明。域内総生産(GDP)は第4四半期(10~12月)に再び縮小するとし、今年の成長率はマイナス7.4%になるとの見通しを示した。だが、回答企業は、新型コロナワクチンに関する朗報を受け、来年には従来の生活を取り戻すことができるだろうとみているという。
■英は分岐点割れ
11月の英国の総合PMI(速報値)は47.4ポイントと、10月から4.7ポイント下落し、分水嶺を割った。新規受注は2カ月連続で減少。雇用の削減幅は過去3カ月で最大となった。
製造業PMIは1.5ポイント上がり55.2ポイント。サービス業PMIは45.8ポイントと、前月から5.6ポイント下落し、こちらも分岐点を下回った。
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