欧州連合(EU)の統計局ユーロスタットは13日、2020年第3四半期(7~9月)のユーロ圏19カ国の実質域内総生産(GDP、2次速報値)が前期比12.6%拡大したと発表した。1次速報値から0.1ポイント下方修正されたものの、リセッション(景気後退)入りした第2四半期の11.8%減からプラスに回復。1995年の統計開始以降で最大の下落幅を記録した前期からの反動で、増加幅は過去最大となった。主要国のうちフランス、スペイン、イタリアは2桁増に転じ、ドイツもプラス成長に復帰している。
国別の成長率を見ると、ドイツは8.2%増加と、第2四半期の9.8%減からプラスに転じ、リセッション(景気後退)から脱却した。輸出が急増したほか、家計最終消費支出や、投資を示す総固定資本形成のうち機械・機器が拡大して寄与した。
フランスの成長率は18.2%と、前期のマイナス13.7%からプラスに回復。イタリアは16.1%と、第2四半期の13%減からこちらも増加に転じている。スペインは16.7%と、前期のマイナス17.8%からプラス成長に復帰。オランダは第2四半期の8.5%減から7.7%のプラスに転じた。ユーロ圏外では英国が15.5%と、前期のマイナス19.8%から大幅なプラス回復を遂げている。
ユーロ圏のGDPは、前年同期比では4.4%縮小。こちらも1次速報値から0.1ポイント下方修正されているが、マイナス幅は第2四半期の14.8%減から大幅に緩和している。EU27カ国全体では前期比で11.6%増えた半面、年率では4.3%落ち込んでいる。
欧州委員会は11月に発表した秋季経済見通しの中で、今年のユーロ圏のGDPが前年比7.8%縮小するとの見通しを示した。第3四半期の力強い回復を受け、前回7月の夏季見通しでの予測8.7%減からは上方修正したものの、なお史上最悪の落ち込みを予想。また、ここへきて新型コロナウイルスの感染が急速に再拡大していることから、今回の見通しを巡る不透明感と下振れリスクは大きいとしている。
ユーロ圏の第3四半期GDPの改定値は12月8日に発表される予定。
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