欧州連合(EU)は9日、米政府による同国の航空機大手ボーイングへの補助金支給を巡り、EUによる米国製品への報復関税を導入すると発表した。対象製品の貿易高は総額40億ドルに上る見込みで、10日付で施行された。
同制裁を巡っては、世界貿易機関(WTO)が先に正式に承認したばかり。EUは今後、米国から輸入する航空機に15%、ワインや蒸留酒、オレンジジュース、ケチャップ、冷凍の魚やサクランボなどの食品・農産品やスーツケース、トラクターなどの工業製品に25%の関税を課す。
欧州委員会のドムブロフスキス上級副委員長は「同問題の解決に長年尽力してきたが、米国との交渉に進展が見られず、遺憾ながら報復関税に踏み切る以外の選択肢はなかった」と説明。ただ、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)で経済が打撃を受ける中、米国に対し、双方が報復関税を同時に廃止することを提案した。
米国は2004年、EUの欧州航空・防衛最大手エアバスに対する補助を不当として提訴。これに対しEUも、米政府のボーイングへの補助を不当として訴え、いずれもWTOから協定違反と認められた。WTOは昨年10月、米国が総額75億ドル相当のEU製品に報復関税を課すことを承認。米国は現在、航空機に15%、チーズやオリーブオイル、ワインなどのEU製品に25%の報復関税を課している。[EU規制]
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