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10月は過去2年超で最高 ユーロ圏製造業PMI確定値

金融情報サービス会社IHSマークイットは2日、10月のユーロ圏製造業PMI(購買担当者景気指数、確定値)が54.8ポイントになったと発表した。速報値から0.4ポイント上方修正され、前月からは1.1ポイント上昇。過去27カ月で最高を記録した。景気の「改善」と「悪化」の境目である50ポイントも引き続き上回っている。

調査対象国のうち、イタリアは53.8ポイントと過去31カ月で最高を記録。オーストリアは54ポイントとなり、過去23カ月で最も高い。スペインは52.5ポイント、アイルランドは50.3ポイントにそれぞれ上昇した。半面、オランダは50.4ポイントと過去3カ月で最低となりギリシャは48.7ポイントと分岐点を下回った。

ユーロ圏経済をけん引するドイツは58.2ポイント。速報値から0.2ポイント引き上げられ、9月からは1.8ポイント上昇。過去31カ月で最高に達した。新規受注の伸びは1996年の統計開始以降で最大となり、特に輸出向けは2017年12月以降で最も加速した。生産高は過去3番目に速いペースで拡大。一方、雇用は20カ月連続で縮小している。

フランスは51.3ポイントと、速報値から0.3ポイント上方修正され、前月からは0.1ポイント上昇。生産高の伸びは過去5カ月で最も緩やかだった。新規受注は、過去1年近くで最大の伸びとなった。輸出向けが低迷したものの、国内向けが全体を押し上げた。半面、雇用は10カ月連続で減少した。

ユーロ圏製造業PMIのサブ指数を見ると、生産高は過去2年半超で最も拡大。新規受注の伸びは2018年初め以降で最も加速し、うち輸出向けの伸びは2018年2月以降で最大となった。一方で、雇用の縮小傾向は過去1年半続いている。仕入れ価格は3カ月連続で上昇し、出荷価格は2019年6月以降で初めて上昇に転じた。今後の見通しは、5カ月連続で楽観的な見方が広がっている。

IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは今回の結果について、第4四半期(10~12月)の生産高の見通しは良いものの、国によって拡大傾向が不均等なことに懸念を示した。また、消費者向けの事業活動は再び低迷しており、これは製造業全体が現時点では活況なものの、回復基調が持続するかどうかは消費者行動が正常化し、労働市場が強化されるかに左右されると指摘。加えて、新型コロナウイルスの感染第2波により、回復はまだ先になるだろうとの見方を示した。

■英は低下も高水準

IHSマークイットによると、10月の英国の製造業PMIは53.7ポイント。速報値から0.4ポイント上方修正されたものの、9月からは0.4ポイント低下した。生産高の伸びは過去4カ月で最も小さいが長期平均は上回った。新規受注は中国や米国に加え、欧州大陸から英国の欧州連合(EU)離脱の移行期間終了前の駆け込み需要があり、特に輸出向けが好調だった。一方、雇用は9カ月連続で縮小。仕入れ価格の上昇幅は2018年12月以降で最大となり、出荷価格も上がっている。


関連国・地域: EU
関連業種: その他製造マクロ・統計・その他経済

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