欧州連合(EU)は1~2日に開いた首脳会議(サミット)で、ベラルーシ当局の関係者約40人に経済制裁を科すことを決めた。先の大統領選挙の結果に抗議する野党や市民を弾圧しているため。ただ、ルカシェンコ大統領自身は対象に含まれていない。ベラルーシに対する制裁には、同大統領を支持するロシアと良好な関係にあるキプロスが抵抗していたが、土壇場で反対を取り下げた。
EUは8月の臨時サミットで、ベラルーシのデモ弾圧の責任者に経済制裁を科すことで原則合意。その後、ルカシェンコ大統領を含む政府関係者40人に対する制裁案を協議したが、キプロスの反対により合意がまとまらずにいた。EUの外交政策の決定には、全会一致での合意が必要となる。
この日の協議は2日未明まで続いた。EUのミシェル大統領はサミット後の記者会見で、「直ちに制裁を科すことで合意した」と発表。「先のサミットで決めたことを実行し、EUの信頼性を示すことは非常に重要だ」と話した。ルカシェンコ大統領が制裁対象から外されたことについては「現行リストには含まれていないが、今後の展開を見守る」としている。外交筋によると、同大統領が反体制派との対話を拒否した場合には、対象に含められる可能性がある。
フィナンシャル・タイムズによれば、キプロスが反対を取り下げた背景には、他の加盟各国が、サミット後の声明で同国が東地中海の資源開発問題で対立するトルコにも制裁の可能性を示唆することに同意したことがある。
なお先の臨時サミットでは、ベラルーシ国民を対象に5,300万ユーロの支援を行うことも決まっていた。5,000万ユーロは新型コロナウイルス対策の支援に、残りは弾圧の犠牲者や市民社会および独立系メディアへの支援に充てる方針で、今回のサミットでは、その準備に向けた計画の策定を欧州委員会に促している。[EU規制]
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