欧州委員会は23日、欧州連合(EU)の移民・難民受け入れ制度の改革案となる「移民・難民に関する新協定」を公表した。新協定は、手続きの効率化・迅速化、責任の共有と連結、加盟国間の信頼関係の再構築を通して、EUの移民・難民を巡る管理能力を高める狙い。成立には欧州議会の承認を必要とする。
この改革案では、加盟各国に割り当てられた難民の受け入れ規定に強制力を持たせる。各加盟国の負担を公平化するため、受け入れを拒否する国には、難民申請を却下された移民の本国送還業務や関連コストの負担を義務付ける。なお難民の受け入れ国には、EUの予算から成人1人当たり1万ユーロを支給する。
同案では併せて、域内共通の受け入れ手続きの導入を提案。具体的には、EU域内への入国許可のない全ての移民を対象に入国前のスクリーニング審査を実施し、事前に難民申請資格の有無や、健康状態の確認、EUのデータベースへの登録などの完了を目指すとした。
このほか、移民の本国送還に関する域内共通のシステムの構築や、国境警備隊の強化、EUと各国が難民政策で足並みを揃えるための戦略的な計画の策定、移民管理の監視強化などに取り組む。また、域外の第三国と相互に有益な提携関係を結び、難民問題の解決に向けた協力を強化する考えを示した。
同案を巡っては、大量の移民受け入れを行ってきたドイツやフランスが支持。多くの移民が最初に到着するイタリアやギリシャ、スペインは、一部の規定が不十分と見るものの、負担の公平化を目指している点に満足感を示した。一方、反移民を打ち出すハンガリーやポーランドに加え、オーストリアやスロベニアも慎重な姿勢を見せている。[EU規制]
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