金融情報サービス会社IHSマークイットは23日、9月のユーロ圏総合PMI(購買担当者景気指数、速報値)が50.1ポイントとなったと発表した。8月から1.8ポイント低下し、過去3カ月で最低を記録。ただ、景気の「改善」と「悪化」の境目である50ポイントは引き続き上回った。
ユーロ圏の製造業PMIは53.7ポイントと、前月から2ポイント上昇。新規受注は8月に続き大きく伸び、生産高の拡大ペースは2018年2月以降で最も速い。仕入れ価格はほぼ横ばいで推移した一方、出荷価格はやや低下した。
製造業PMIの国別データを見ると、ドイツは56.6ポイントと、前月から4.4ポイント上昇。過去26カ月で最高を記録した。フランスは1.1ポイント上がって50.9ポイントとなり、再び分岐点を上回った。
ユーロ圏総合指数のうち、生産高はあまり変化がなかった。新規受注はわずかに増加。雇用の削減ペースは過去7カ月で最も減速している。仕入れ価格はやや上昇。出荷価格の下落幅は前月から拡大した。
■サービス業は軒並み分岐点割れ
ユーロ圏のサービス業PMIは47.6ポイントと、前月から2.9ポイント低下。分水嶺を下回った。国別ではドイツが49.1ポイントと3.4ポイント下がった。フランスは4ポイント下落して47.5ポイントとなり、共に分岐点割れしている。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは今回の結果について、新型コロナウイルスの再流行に伴いサービス業が打撃を受けたことで、ユーロ圏経済の回復は止まったと説明。製造業は、輸出向けの旺盛な需要などが後押ししている一方、サービス業は、感染リスクの懸念から、特に対面での事業活動が落ち込んでいると指摘した。回答企業の事業見通しは現段階では明るいが、感染状況によっては向こう数カ月に変動し、9月に見せた結果が第4四半期(10~12月)にも反映される可能性もあると懸念を示している。
■英も低下
9月の英国の総合PMI(速報値)は55.7ポイントと、過去6年で最高を記録した8月から3.4ポイント下落した。国内外の経済停滞により、顧客需要の回復ピークが頭打ちしたことから、新規受注の増加幅は過去3カ月で最小。一方、雇用は縮小ペースが3月以降で最も減速した。
製造業PMIは0.9ポイント下がり54.2ポイント。サービス業PMIは55.1ポイントと、前月から3.7ポイント下落し、過去3カ月で最低を記録した。
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