フランスの高級ブランド大手LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンによる米国の宝飾品大手ティファニーの買収計画に、暗雲が垂れ込めている。ティファニーは9日、LVMHが合意した条件で取引を完了するよう求め、同社を米国のデラウェア州衡平法裁判所に提訴したと発表した。一方のLVMHはこの日、米国の報復関税を理由に買収計画を撤回する方針を示しており、ティファニーはこれも批判している。
この買収計画を巡っては、取引完了期限が当初8月24日から3カ月後の11月24日に延期されている。ティファニーは今回、この理由について8月時点でLVMHが3地域の規制当局に対して承認申請を行っていなかったためと説明。一方で他の取引の必要条件を満たしていたことから、ティファニーは期限を3カ月延期した。しかし、LVMHは依然として欧州連合(EU)および台湾で承認申請をしておらず、日本とメキシコについては未処理のままという。
他方のLVMHは声明で、米国がフランスからの輸入品に報復関税をかける動きに絡み、フランス外務省からティファニーとの合併案件を来年1月6日以降に先延ばしするよう要請を受けたと発表。また、ティファニー側から期限を今年12月31日に延長するよう申し入れがあったと主張し、これらを理由に買収計画を実行することはできないと結論付けた。
ティファニーはこれらの言動について、合意した額を支払いたくないLVMHが、故意に取引完了を先延ばししていると批判している。
両社は昨年11月に買収で合意。取引額は162億ドルで、LVMHにとって過去最大の買収案件となるはずだった。[M&A]
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