欧州委員会は近く、欧州連合(EU)域内企業による原材料の安定的な供給確保に向けた「原材料同盟」を立ち上げるもようだ。リチウムなどデジタル化やグリーン化に欠かせない希少な原料について、域内完結型のサプライチェーン(調達・供給網)構築を目指す。EU政策専門サイトのユーラクティブが伝えた。
原材料同盟は、電気自動車(EV)向け電池の開発・生産に向け2017年に結成された「欧州バッテリー同盟(EBA)」をモデルに構築される見通し。欧州委は3日にも同連合の結成を提案し、9月中に正式に発足させる方針という。
原材料同盟の対象となるのは、リチウムやコバルトなどの金属やレアアース(希土類)。これらの原料は、EVやバッテリー、風力タービン、太陽光パネル、産業用ロボットをはじめ、さまざまな電気・電子機器に欠かせないものだが、現在は輸入に頼っている。
欧州委のシェフチョビッチ機関間関係・先見性担当委員とブルトン域内市場担当委員は現在、こうした貴重な原材料の安定供給確保に向けた行動計画を策定しており、原材料同盟もその一環。また、両委員は「重要原材料リスト」の3年ぶりの改定にも取り組んでおり、リチウムやボーキサイト、ストロンチウム、チタンなどがこれに追加される見通しという。
シェフチョビッチ委員は、中でもバッテリー原料として需要の高いリチウムについて、「25年前後には域内で自給自足できる可能性が高い」と自信を示している。
欧州委の調査報告によると、EUは現在、これらの重要原材料の供給を輸入に過度に依存しており、中国など資源の豊富な国々の圧力により供給不足に陥る恐れがある。その結果、バッテリーや再生可能エネルギー関連機器の生産に影響が及べば、50年までに気候中立を目指す目標が達成できない可能性も出てくる。[環境ニュース]
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