金融情報サービス会社IHSマークイットは21日、8月のユーロ圏総合PMI(購買担当者景気指数、速報値)が51.6ポイントとなったと発表した。過去2年で最高を記録した7月から3.3ポイント低下したものの、景気の「改善」と「悪化」の境目である50ポイントは引き続き上回った。
ユーロ圏の製造業PMIは51.7ポイントと、前月から0.1ポイント低下。新規受注は7月に続き大きく伸び、生産高の拡大ペースは2018年4月以降で最も速い。仕入れ価格はほぼ横ばいで、出荷価格はやや低下した。
製造業PMIの国別データを見ると、ドイツは53ポイントと、前月から2ポイント上昇。過去23カ月で最高を記録した。一方、フランスは3.4ポイント下がって49ポイントとなり、再び分岐点を下回った。
ユーロ圏総合指数のうち、生産高はやや拡大。新規受注は輸出向けが不振だったものの、全体では前月に続き増加した。一方、雇用は6カ月連続で落ち込んだ。仕入れ価格は3カ月連続で上昇。出荷価格は6カ月連続で下がったものの、下落ペースは緩和している。
■サービス業も軒並み低下
ユーロ圏のサービス業PMIは50.1ポイントと、前月から4.6ポイント低下。国別ではドイツが50.8ポイントと4.8ポイント下がった。フランスは5.4ポイント下落し51.9ポイントとなった。
IHSマークイットのエコノミクス・ディレクター、アンドリュー・ハーカー氏は今回の結果について、ユーロ圏経済の回復は勢いを失い、新型コロナウイルス危機による需要の弱さが浮き彫りになったとコメント。感染再拡大の兆しを受けた新たな規制によりサービス業は特に打撃を受けたと説明した。ユーロ圏経済が回復に向かうか低迷を続けるかは、感染封じ込めにどの程度成功し、企業と顧客が成長を支える自信を持てるかどうかにかかっているとしている。
■英は過去7年弱で最高
8月の英国の総合PMI(速報値)は60.3ポイントと、前月から3.3ポイント上昇。過去82カ月で最高を記録した。感染封じ込め策の緩和を受けた事業再開により、新規受注の増加幅は14年7月以降で最も拡大。一方、雇用は縮小ペースが今年5月以降で最も加速した。
製造業PMIは2ポイント上がり55.3ポイントで、過去2年半で最も高い。生産高の伸びは14年4月以降で最も加速した。サービス業PMIは60.1ポイントと、7月から3.6ポイント上昇し、過去72カ月で最高となった。
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