新型コロナウイルスの感染拡大を受け中止された一般教育修了上級レベル(Aレベル)試験に替わり導入されたアルゴリズムによる成績評価システムが、公立校を中心に多数の生徒の成績を不当に引き下げているとして批判が高まっていた問題で、政府は17日、このシステムを撤回し、教師による予想成績を最終資格として認めると発表した。ただ、既に大学が合否を発表した後でのUターンだけに、教育現場ではなお混乱が続いている。ウィリアムソン教育相は謝罪したものの、辞任を求める声も上がっている。
このアルゴリズムは、教師の予想成績を元に、各生徒の学校内での成績順位や各校の過去3年の実績を加味して調整するもの。全体の成績が例年より過度に上昇することを避ける狙いがあったが、結果的に全生徒の約40%の成績が引き下げられ、多数の生徒が教師の予想成績に基づき仮合格通知を受けていた大学に不合格となった。
中でも、過去の実績が低い公立の底辺校などでは、例外的に優秀な生徒の成績が大きく引き下げられる一方、学級定員の少ない私立校は同アルゴリズム適用の対象外となり、教師の評価がそのまま採用されるなど、不公平感が高まっていた。これを受け、教育省前では生徒らが抗議デモを展開。成績に不満を持つ生徒や教師が一斉に異議申請手続きを取ることも予想されていた。
同相はこの日「できるだけ公平なモデルの構築を試みたが、矛盾や不公平の多い結果となり、異議申請手続きに対応しきれないことが明らかになった」と説明。「若者やその親に心痛を与えたことを謝罪する」としている。
ただ、13日に成績が発表されてから4日後の方針転換となり、大学側は合否結果を発表済み。既に第2希望の大学に入学手続きを取った生徒もいるほか、いったん不合格とした生徒も受け入れれば定員を上回り、感染対策の社会的距離の確保がさらに困難になる大学も出てくる。
なお、政府は19日に発表される義務教育修了試験(GCSE)の成績についても、同アルゴリズムは適用せず、教師の予想成績を最終成績として認めるとしている。また、先にはスコットランド自治政府も、スコットランド版Aレベルであるスコットランド共通試験(SQC)について、同様のアルゴリズムによって引き下げられた成績を撤回する措置を取っていた。
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