米研究用機器・試薬メーカーのサーモフィッシャーサイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific)は13日、独バイオ技術キアゲン(Qiagen)の買収を断念すると発表した。キアゲン株主の多くが株式の買い付けに応じなかったため。同社が手掛ける新型コロナウイルスの検査キットの需要が急増していることから、同社の株主の間では取引額への不満が高まっていた。
サーモフィッシャーは3月、キアゲンを買収することで合意。キアゲン株を1株当たり39ユーロで買い付ける計画で、取引額はおよそ14億ドルの負債引き受けを含め、約115億ドルに上る予定だった。
取引成立には、株式の66.6%を買い付ける必要があったが、株主が取引に応じた株式は全体の47%にとどまった。サーモフィッシャーはこれを受け、買収契約を打ち切った。キアゲンは契約に基づき、諸経費として9,500万ドルを同社に支払う。
キアゲンの取締役会はこの取引を支持していたため、今後の処遇が不透明となっている。同社のハカン・ビョルクルント会長は「株主の決断を尊重し、当社の成長戦略を引き続き実行する」と話している。
キアゲンに8%を出資する米ヘッジファンドのデビッドソン・ケンプナー・キャピタル・マネジメントはかねて、買収額が低すぎるとして強く反対していた。なお、同社の筆頭株主は8.8%株を保有する米投資会社ブラックロック。
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