欧州連合(EU)は21日早朝、新型コロナウイルス危機を受けた総額7,500億ユーロの復興計画を巡る合意に達し、5日間に及んだ首脳会議(サミット)を終了した。計画の目玉である返済不要の補助金の規模は、オランダなど一部加盟国の要求を受け、当初に予定していた5,000億ユーロから3,900億ユーロに縮小したものの、EUが初めて借り入れによって補助金を賄うことを認めた歴史的な合意となる。
7,500億ユーロの復興計画は、欧州委員会が5月に提案したもので、資金は欧州委が市場で調達する。当初は5,000億ユーロを補助金に、2,500億ユーロを融資に充てる予定だった。
サミットでは、「倹約派4カ国」と称されるオランダとデンマーク、オーストリア、スウェーデンにフィンランドを加えた5カ国が、補助金を3,750億ユーロ以下に減らすよう要求。残りは厳しい条件付きの融資とするよう主張した。これに対し、イタリアやスペインが最低4,000億ユーロを求めて抵抗したため、議論が紛糾。2000年のニース・サミットに次ぐマラソン協議となったが、最終的にミシェルEU大統領が補助金を最大3,900億ユーロとする妥協案を提示し、合意がまとまった。
この補助金は、新型コロナウイルスによる打撃が大きい加盟国を対象に提供され、イタリアとスペインが最大の受け取り国となる見通し。受け取り国は支出計画を欧州委に提出する必要があり、過半数の加盟国が反対すれば支出を阻止できる。残りの3,600億ユーロは、加盟27カ国を対象とした低利の融資とする。
復興計画は、EU加盟27カ国により詳細を詰めた後、欧州議会での承認を経て成立する見通し。
今回のサミットではこのほか、EUの次期中期予算である21~27年の「多年次財政枠組み(MFF)」を総額1兆743億ユーロとすることでも合意した。オランダなどは補助金の上限を引き上げることと引き換えに、EU拠出金のリベートの維持が約束されている。リベートは、拠出額が補助金などの受給額を上回る純拠出国に拠出金を還元するもので、当初は廃止が予定されていた。[EU規制]
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