ポーランドで12日、大統領選挙の決選投票の投開票が行われ、現職のドゥダ氏が51.2%を得票し再選を果たした。野党候補でワルシャワ市長のトシャスコフスキ氏の得票率は48.8%と、1989年に共産主義体制が崩壊して以来、最も僅差での勝利となった。選挙管理委員会の発表を元に、BBC電子版などが伝えた。
投票率は68.1%と、史上2番目に高い。
大統領選では、司法改革や公共メディア改革を巡りたびたび衝突してきた欧州連合(EU)との今後の関係が最大の争点の一つとなった。ポーランドでは大統領は法案への拒否権を持つため、野党候補が勝利すれば同国の政治に大きな変革がもたらされる可能性が高いとみられていた。しかし今回のドゥダ氏の勝利で、ポーランドはさらなる司法改革や人工妊娠中絶を巡る規制強化を進めるほか、同性愛者の権利拡大に反対を続けるとみられる。
ドゥダ氏は選挙戦序盤で、与党・法と正義(PiS)が計画する大規模なインフラ整備事業と福祉プログラムを前面に押し出し、貧困層の生活改善を訴えていた。だが支持率でトシャスコフスキ氏が追い上げてきてからは、ポーランドの伝統的カトリック的価値観を国外の脅威から擁護する立場を強調。同性カップルによる養子縁組を憲法で禁じる考えを明らかにし、右派の票固めを狙った。
一方、最大野党の中道右派・市民プラットフォーム(PO)が推すトシャスコフスキ氏は、PiSが推す福祉プログラムへの支持を表明し、地方都市への投資などを公約することで、幅広い層からの支持獲得を目指していた。
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