欧州委員会は7日発表した夏季経済見通しの中で、今年のユーロ圏の実質域内総生産(GDP)が前年比8.7%縮小し、史上最悪の落ち込みを記録するとの見通しを示した。前回5月時点の春季予測では7.7%減としていたが、米国での新型コロナウイルス感染拡大が欧州経済に影響するとの懸念から下方修正された。中でも経済主要国であるフランスとイタリア、スペインの落ち込みが2桁台と深刻になるとみている。
GDP成長率は来年には6.1%のプラスに回復する見通し。一方、欧州連合(EU)加盟27カ国のGDPは、2020年に8.3%縮小し、21年には5.8%拡大すると見込む。
国別に見ると、ドイツのGDPは今年は6.3%減、来年は5.3%増となる見通し。フランスは、今年に10.6%縮小し、来年は7.6%増加に回復するとみている。イタリアは今年に11.2%減と大きく落ち込み、来年は6.1%拡大すると予想。スペインはそれぞれ、10.9%のマイナス、7.1%のプラスを見込む。オランダは今年が6.8%減、来年は4.6%増となる見通し。
1月末にEUを離脱した英国は、今年9.7%落ち込むと予想。来年は6%増に回復すると見込むが、12月末に移行期間が終了した後のEU域内との貿易条件について合意に達することができなければ、成長率は落ち込むとみる。
欧州委は、前回予想からの下方修正について、各国の封鎖解除が当初の予測よりも遅れたためと説明。「世界的にはまだ新型コロナウイルスの感染は拡大している。特に米国と新興国で著しく、これが世界経済見通しを引き下げ、欧州経済にも下向き圧力を与える恐れがある」としている。
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