フランスのマクロン大統領は26日、新型コロナウイルスの流行で打撃を受けている国内自動車産業に対し、総額80億ユーロの支援策を発表した。電気自動車(EV)など環境に優しい車両の生産で欧州内の主導的地位を目指すほか、仏自動車メーカーに国内生産への回帰を促す。BBC電子版などが伝えた。
マクロン大統領は「この歴史的な介入により、フランスの充電車両産業を欧州最大とすることを目指す」と説明。支援策のうち10億ユーロをEVやハイブリッド車(HV)の普及に投じ、2025年までにこれらの車両の国内生産を年間100万台とする。
このため個人のEV購入には7,000ユーロ、企業による購入には5,000ユーロ、HVには2,000ユーロの補助金を支給。また6月1日からはガソリン車から環境に優しい車への買い替えに3,000ユーロ、EVへの買い替えには最大5,000ユーロを補助する。買い替え支援の対象となる世帯は、全体の約75%に上るという。
支援と引き換えに、仏自動車大手ルノーとグループPSA(旧プジョー・シトロエン・グループ)には生産の国内回帰を求め、雇用の維持を図る。同大統領は「現在国内で生産しているモデルを国外で生産すべきではない」と述べている。
またマクロン大統領は、ルノーがEVのバッテリー開発に向けた仏独のコンソーシアムに加わることで合意したと明らかにした。同プロジェクトには既にPSAが参加を決めている。政府は、今回の支援策とは別にルノーに50億ユーロ程度の融資保証を与えることを検討しているが、このプロジェクトへの参加が条件の一つだった。ただ政府保証については、北部モブージュ(Maubeuge)とドゥエー(Douai)の2工場での今後の雇用が保障されるまでは決定しないという。[労務][環境ニュース]
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