欧州復興開発銀行(EBRD)は13日、対象とする37カ国の経済見通しの最新報告書を公表し、今年の域内総生産(GDP)成長率が平均でマイナス3.5%になるとの予想を明らかにした。昨年11月の前回予想では2.9%のプラス成長を見込んでいたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け大きく引き下げている。
経済見通しの対象国は、中東欧や欧州南東部、バルカン地域、中央アジア、トルコ、ロシア、北アフリカなど。報告書は引き下げの理由として、感染拡大による観光産業への打撃、コモディティー価格の急落、バリューチェーンの寸断、送金の縮小などを挙げた。ただ来年には回復し、4.8%のプラス成長に復帰すると予測している。
今回の経済見通しは、封鎖措置など感染防止の取り組みが段階的に緩和され、今年後半には正常化に向かうというシナリオに基づく。しかし、ソーシャルディスタンス(社会的距離)を確保するといった措置が長期にわたり継続されれば景気後退ははるかに深刻化し、GDPが昨年の水準まで回復するには数年を要する可能性があると指摘する。
国別では、ロシアは原油価格の急落もありGDP成長率はマイナス4.5%となる見通し。トルコは封鎖措置の期間を限定して経済活動の多くを継続しているため、マイナス3.5%にとどまるとしている。中東欧では、ポーランドとハンガリーは共にマイナス3.5%、西バルカン諸国は平均でマイナス4.8%と予想する。北アフリカのうちエジプトは0.5%のプラスを見込むものの、モロッコとチュニジアはそれぞれマイナス2%、マイナス2.5%になるとみている。
EBRDのチーフエコノミストのベアタ・ヤボルシク氏は「第2次大戦以降で最大の試練に直面している」とした上で、各国は保護主義的な経済政策を進めるのではなく、自由貿易や国際協力を強化するよう求めた。
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