ジョンソン首相は10日、入国者に自主隔離を義務付ける方針を明らかにした。新型コロナウイルス対策の封鎖措置が緩和される中、感染の第2波を回避する狙い。ただ、封鎖措置や渡航制限により既に大打撃を受けている航空・旅行業界は悲鳴を上げている。
期間などの詳細は11日に議会で説明される予定だが、英紙タイムズなどによると、対象となるのはアイルランド以外からの入国者で、帰国する英国人や英在住者も含まれる見通し。入国者は、空港や港に到着した際に滞在先の住所を記入し、そこで14日間にわたり自主隔離をする必要がある。政府は順守状況を確認するため、抜き打ち検査を行う。違反者は最大1,000ポンドの罰金が科されるほか、出国を命じられる可能性もあるとされる。
他の多くの欧州諸国は既に厳しい入国規制を敷いているが、ここへきて航空便の再開に目を向け始めている。一方、英政府は新型コロナウイルスの感染拡大が始まった1月から2月にかけ、中国と韓国、イタリア北部、イランからの入国を制限したものの、その後は新たな規制は導入していなかった。
このタイミングでの自主隔離義務付けにより、国内航空・旅行業界の夏季シーズンでの業績挽回はほ絶望的となる。英航空大手ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)とスペインのイベリア航空を運営するインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)は先に、入国者が自主隔離を義務付けられた場合、定期便は再開しないと話していた。また、ロンドン・ガトウィック空港は今回の措置を受け、一時帰休中の賃金を補助する「コロナウイルス雇用維持制度」の航空業界向けの延長や、発着枠規制の緩和、税控除などの救済措置を政府に求めている。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。