欧州委員会は6日発表した春季経済見通しの中で、今年のユーロ圏の実質域内総生産(GDP)が前年比7.7%縮小し、史上最悪の落ち込みを記録するとの見通しを示した。前回2月時点の冬季予測では1.2%の伸びを予想していたが、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)により圏内のすべての国でリセッション(景気後退)が予想されることから、これを大幅に下方修正した。
GDP成長率は来年には6.3%のプラスに回復する見通し。一方、欧州連合(EU)加盟27カ国のGDPは、2020年に7.4%縮小し、21年には6.1%拡大すると見込む。
国別に見ると、ドイツのGDPは今年は6.5%減、来年は5.9%増となる見通し。フランスは、今年に8.2%縮小し、来年は7.4%回復するとみている。イタリアは今年に9.5%減と大きく落ち込み、来年は6.5%拡大すると予想。スペインはそれぞれ、9.4%のマイナス、7%のプラスを見込む。オランダは今年が6.8%減、来年は5%増となる見通し。
1月末にEUを離脱した英国は、今年に8.3%落ち込む見通し。来年は6%増に回復すると見込むが、これは12月末に移行期間が終了した後も、EU域内との貿易条件で現状が維持されるとの仮定に基づく。
欧州委は、「EUおよび加盟国レベルでの迅速かつ包括的な対策にもかかわらず、EU経済は今年、歴史的規模のリセッションに陥る」と予想。封鎖措置の段階的緩和により回復の途に就くものの、来年末までの完全な回復は見込めないとしている。また、今回の見通しを巡っては下振れリスクが極めて大きいと指摘。パンデミックの規模や期間が予想を上回る恐れもあるほか、EU共通の経済復興戦略の欠如、国際的なバリューチェーンや協力に対する考え方の恒久的な変化、企業倒産による長期的な雇用喪失などをリスク要因として挙げている。
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