欧州連合(EU)は23日開催したテレビ会議形式による首脳会議(サミット)で、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)が経済に及ぼす悪影響からの回復に向け、「欧州復興基金」を創設することで基本合意した。しかし、基金の規模や、融資にするか補償にするかといった具体案は決まらなかった。共通債券の発行を巡っては、一部加盟国間で意見の対立が続いており、結論は持ち越された。
基金は十分な規模を有し、最も影響を受けた業界や地政学的地域を対象とすべきとしている。これに向け、欧州委員会にEUの次期中期予算である2021~27年の「多年次財政枠組み(MFF)」からの資金拠出の可能性も含めて実行案を構築するよう要請している。
メルケル独首相はサミット後、復興基金への多額の拠出を請け負う姿勢を示した。一方で、用途の詳細を詰めるべきと強調している。欧州委員会のフォンデアライエン委員長は会議後に発表した声明で、EUの財源を従来の域内国民総所得(GNI)の1.2%から2%に引き上げることを提案。ロイター通信によると、欧州委員会は復興支援に向け、総額2兆ユーロの資金を確保する方針という。
首脳会議では、総額5,400億ユーロの緊急支援パッケージでも正式に合意した。6月1日までに発効する方針。
この支援パッケージは先にユーロ圏財務相会合(ユーログループ)で合意されたもので、EUの救済基金「欧州安定化メカニズム(ESM)」を活用した各国政府への信用供与と、欧州投資銀行(EIB)を通じた企業への融資、欧州委が新設する時短補助支援制度「SURE」を通じた労働者向け支援がなされる。
イタリアやスペイン、フランスなど計9カ国は先のユーログループで、加盟国が債務を共同で負担する「コロナ債」の発行も提唱したが、オランダやドイツ、オーストリアの反対で合意がまとまらなかった。
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