金融情報サービス会社IHSマークイットは23日、4月のユーロ圏総合PMI(購買担当者景気指数、速報値)が13.5ポイントとなったと発表した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)を受け、1998年7月の統計開始以降で最低に沈んだ3月からさらに16.2ポイント下落した。
ユーロ圏の製造業PMIは33.6ポイントと、前月から10.9ポイント低下し、過去11年超で最低を記録。新規受注と生産高の落ち込み幅は共に過去最大となった。仕入れ価格は大きく下がり、出荷価格の下落ペースは過去10年超で最も加速した。
製造業PMIの国別データを見ると、ドイツは34.4ポイントと、前月から11ポイント下落。依然として景気の「改善」と「悪化」の境目である50ポイントを大きく下回っている。フランスは11.7ポイント低下して31.5ポイントだった。
ユーロ圏総合指数のうち、生産高と新規受注の落ち込み幅は過去最大となった。雇用の削減ペースも統計開始以降で最も加速。仕入れ価格と出荷価格は共に、下落幅が過去11年近くで最も大きい。
■サービス業も記録的な不振
ユーロ圏のサービス業PMIは11.7ポイントと、前月から14.7ポイント下落。統計開始以降の最低記録を更新した。国別ではドイツが15.9ポイントと15.8ポイント低下。フランスは17ポイント下がって10.4ポイントとなり、いずれも統計を始めてから最低を記録している。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは今回の結果について、パンデミックを受けた封鎖措置や世界的な需要の低迷、人員・供給不足で、ユーロ圏経済はこれまでにないほどの打撃を受けたとコメント。これを受け、域内総生産(GDP)は四半期ベースで約7.5%縮小すると予想する。さらに、向こう数週間は感染封じ込め策による経済の停滞が続き、第2四半期(4~6月)GDPは近代で最大の落ち込みを記録する可能性も警告している。
■英も過去最低を更新
4月の英国の総合PMI(速報値)は12.9ポイントと、前月から大きく23.1ポイント下落し、1998年1月の統計開始以降で最低となった。ほとんどの企業は、パンデミックが事業活動に打撃を与えていると回答。新規受注と雇用は過去最大の落ち込み幅を記録した。仕入れ価格は過去5年超で初めて低下。出荷価格の下落ペースは1999年11月の統計開始以降で最も速い。
製造業PMIは14.9ポイント下がり32.9ポイント。生産高の下落ペースは1992年の統計開始以降で最も加速した。サービス業PMIは12.3ポイントと、3月から22.2ポイント下がっている。
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