欧州連合(EU)は26日開いたテレビ首脳会議(サミット)で、新型コロナウイルス流行による経済的打撃からの回復に向けたEU共通債券の発行で合意に至らなかった。通称「コロナボンド」と呼ばれるこの債券は、イタリアやスペインなど加盟9カ国が提唱したが、ドイツやオランダなど一部加盟国が反対し、域内の南北の亀裂が浮き彫りとなった。
5時間半に及ぶ会議後に出された声明は、具体的な措置に言及せず、ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)に2週間以内に提案するよう求めた。新型コロナウイルス危機の「社会経済的影響の重大さ」を認める一方、「団結の精神でこの難問に対処するよう、あらゆる必要な手を尽くす」と述べるにとどまっている。
メルケル独首相は会議後、EUの救済基金「欧州安定化メカニズム(ESM)」を活用する方が望ましいとの独政府の考えを示した。「コロナボンド」については「全加盟国の考えではない」としている。
ユーログループの24日のテレビ会議では、ESMの活用案で合意がまとまっていた。しかしその翌日、新型コロナウイルス感染症(COVID19)が猛威を振るうイタリアやスペインに、フランス、ポルトガル、アイルランド、ギリシャ、スロベニア、ルクセンブルク、ベルギーを加えた計9カ国は、さらに踏み込んだ措置として「コロナボンド」の発行を要請。これに対し、オランダのルッテ首相は、「いかなる状況においても」EU共通債券の発行は受け入れられないと強く反対していた。[EU規制]
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