金融情報サービス会社IHSマークイットは24日、3月のユーロ圏総合PMI(購買担当者景気指数、速報値)が31.4ポイントとなったと発表した。2月から大きく20.2ポイント下落。世界的な新型コロナウイルスの感染拡大を受け、1998年7月の統計開始以降で最低に沈んだ。
ユーロ圏の製造業PMIは44.8ポイントと、前月から4.4ポイント低下。新規受注は、落ち込みペースが過去11年近くで最も加速した。生産高も2009年4月以降で最大の下落幅を記録。仕入れ価格は大きく下がり、出荷価格も9カ月連続で低下している。
製造業PMIの国別データを見ると、ドイツは45.7ポイントと、前月から2.3ポイント下落。依然として景気の「改善」と「悪化」の境目である50ポイントを下回っている。フランスは6.8ポイント低下して42.9ポイントだった。
ユーロ圏総合指数のうち、生産高は大きく縮小。新規受注は、新型コロナウイルスにより需要が減退し、落ち込み幅は過去最大となった。雇用の削減ペースは2009年7月以降で最大。仕入れ価格は4年ぶりに下落し、出荷価格も2016年8月以降で初めて低下している。
■サービス業は軒並み不振
ユーロ圏のサービス業PMIは28.4ポイントと、前月から大幅に24.2ポイント下落。こちらも統計開始以降で最も低い。国別ではドイツが34.5ポイントと18ポイント低下。フランスは23.6ポイント下がって29ポイントとなり、いずれも統計を始めてから最低を記録している。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは今回の結果について、世界的な金融危機の時に見られた落ち込みを大きく超えるものとコメント。各国政府が新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の感染拡大防止に向けて厳格な措置を講じていることが響いたと指摘した。また、製品・サービスの需要激減に加え、サプライチェーンの深刻な遅れが生産や事業を停止に追い込み、これにより経済は低迷するだろうと懸念。域内総生産(GDP)は四半期ベースで2%程度縮小すると予想している。
■英も統計開始以降で最低
3月の英国の総合PMI(速報値)は37.1ポイント。前月から15.9ポイント下落し、1998年1月の統計開始以降で最低となった。企業は、COVID19への政府の緊急対策が事業活動に打撃を与えていると回答した。新規受注の下落幅は2008年12月以降で最大を記録。雇用は2009年7月以降で最も縮小。事業見通しについては、2012年の調査開始以降で最も落ち込んでいる。
製造業PMIは3.7ポイント下がり48ポイント。生産高の下落ペースは2012年7月以降で最も加速したものの、食品・飲料と化学・プラスチック部門では増加した。サービス業PMIは35.7ポイントと、2月から17.5ポイント下がっている。
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