イタリア政府は11日、新型コロナウイルス流行の対策に最大250億ユーロを投じる方針を明らかにした。医療システムや損失を被る企業・国民を支援するため。支出の拡大を受け、同国の財政赤字が欧州連合(EU)の財政規律で定められた上限である国内総生産(GDP)の3%を上回る可能性が高まっている。
AFP通信によると、政府はこのうち半額を直ちに支出し、残りは被害がさらに悪化した場合に用いるとしている。目的別では、資金の一部を観光客の減少で打撃を受けているレストランやホテルの支援に充てる。また、先に発表した住宅ローンや社会保険料の一部凍結にも振り向けられる見通し。加えて、同ウイルス流行の影響で現金不足に陥った銀行に、部分的な政府保証を提供する案も検討されているという。
政府は先に、新型コロナウイルスの対策費として75億ユーロが必要としていたが、その後に流行が急拡大したことを受け、これを大幅に引き上げた格好となる。支出の実行には、EU財政規律に基づく承認が必要となる。AFP通信によると、EUは当初の対策費予算75億ユーロを承認する姿勢を示していた。
政府は先に、同国の今年の財政赤字がGDPの2.5%になるとの見方を示した。ロイター通信によると、グアルティエーリ経済財務相は財政赤字の新たな見通しは明らかにしていないものの、2020年のGDP成長率が「大幅に落ち込む」と予想している。
■感染者数が千人単位で増加
イタリア市民保護局によると、11日時点の国内の累計感染者数は1万2,462人となり、前日から約2,000人増加。死者数は827人と、前日の631人から増大した。一方、回復したのは1,045人に上る。
累計感染者数を地域別に見ると、ミラノを州都とする北部ロンバルディア州が7,280人と最も多く、州都ボローニャを中心とするエミリアロマーニャ州が1,739人、観光地ベネチアを抱えるベネト州が1,023人と続く。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。