欧州委員会は13日発表した冬季経済見通しの中で、今年のユーロ圏の実質域内総生産(GDP)が前年比1.2%拡大するとの見方を示した。前回11月時点の秋季予測から据え置いた。米中貿易摩擦の懸念は後退したものの、新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の流行拡大が中国との貿易だけでなく世界経済に与える可能性を注視している。
来年の成長率見通しは1.2%と、こちらも前回から据え置いた。欧州連合(EU)加盟国27カ国のGDP成長率見通しは今年、来年ともに1.4%と、こちらも前回から変化がなかった。
今年の成長率予測を国別に見ると、ドイツは1.1%と秋季見通しから0.1ポイント引き上げた。フランスは0.2ポイント下方修正し1.1%と予想。イタリアも0.1ポイント引き下げて0.3%とした。スペインは前回の1.5%から1.6%に上方修正。EUを離脱した英国については、1.2%の拡大とみている。
ユーロ圏のインフレ率については、今年が1.3%、来年が1.4%と予想。いずれも秋季予想から0.1ポイント引き上げた。EU全体では今年が1.5%と前回から0.1ポイント引き上げ、来年は1.6%と据え置いている。
欧州委は、欧州経済が雇用の拡大や賃金上昇に支えられて安定的な成長を維持し、建設分野を中心に民間の消費と投資が引き続き経済成長に大きく寄与するとみている。一方、COVID19については、長引くほど景況感や世界的な資金調達状況に連鎖反応が出るとの懸念を示した。またEUと英国の今後の関係についても大きな不透明感があり、来年の経済見通しについても英国との協議の行方によって変わる可能性を指摘している。
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