金融情報サービス会社IHSマークイットは24日、1月のユーロ圏総合PMI(購買担当者景気指数、速報値)が50.9ポイントとなったと発表した。昨年12月から横ばいだった。景気の「改善」と「悪化」の境目である50ポイントは79カ月連続で超えたものの、引き続き過去6年半ほどで最低の水準にとどまっている。
ユーロ圏の製造業PMIは47.8ポイントと、前月から1.5ポイント上昇。新規受注は下落ペースが2018年11月以降で最も減速し、安定化の兆しが見え始めている。生産高の落ち込み幅も過去5カ月で最も小さい。仕入れ価格は8カ月連続で低下した。
製造業PMIの国別データを見ると、ドイツは45.2ポイントと、前月から1.5ポイント上昇。依然として分岐点を下回っているものの、過去11カ月で最高に達した。フランスは0.6ポイント上がり51ポイントだった。
ユーロ圏総合指数のうち、生産高の伸びはほぼ横ばい。新規受注は2カ月連続で拡大したが、伸びはわずかにとどまった。雇用ペースはやや加速。仕入れ価格の上昇幅は過去8カ月で最大となり、出荷価格も上がった。
■サービス業は独が好調
ユーロ圏のサービス業PMIは52.2ポイントと、前月から0.6ポイント下落。国別ではドイツが1.3ポイント上がって54.2ポイントとなり、過去5カ月で最高となった。フランスは51.7ポイントと、12月から0.7ポイント下落した。
IHSマークイットのアソシエートディレクター、アンドリュー・ハーカー氏は今回の結果について、新しい年になったが、ユーロ圏経済は1月も似たようなものだとコメント。その一方で、サービス業は拡大を続けているほか、製造業も最悪の状況から脱して安定基調に入りつつあると指摘した。ユーロ圏経済をけん引するドイツとフランスも堅調に伸びていることから、欧州中央銀行(ECB)は安心して政策金利を固定できるとともに、政策戦略の見直しに着手できると分析している。
■英は過去1年半弱で最高
1月の英国の総合PMI(速報値)は52.4ポイントとなり、前月から大きく3.1ポイント上昇。過去16カ月で最高を記録し、2019年8月以来で初めて分水嶺を上回った。企業は、昨年12月の総選挙により政治的不透明感が緩和されたことが事業活動や消費の意思決定に好影響を与えていると回答した。新規受注の拡大ペースは2018年9月以降で最も加速。雇用は2カ月連続で増加した。仕入れ価格の伸びは過去4カ月で最も加速し、出荷価格の上昇ペースも昨年5月以降で最も速い。
製造業PMIは2.3ポイント上がり49.8ポイント。新規受注は輸出向けが不振だったものの、全体としては前月と比べて安定した。サービス業PMIは52.9ポイントと、12月から2.9ポイント伸び、過去16カ月で最も高い。
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