仏政府は11日、大規模ストライキの発端となった年金改革案の詳細を発表した。業種ごとに異なる42の年金制度を廃止して一本化するもので、フィリップ首相はより公平かつ長期の労働を促すものだと強調。一方で、これに反対する労働組合のストは7日目に突入した。この日も公共交通機関に支障を来しており、状況打破のめどは立っていない。
フィリップ首相は今回の年金改革について、2022年1月から導入し、1975年かそれ以降に生まれた人が対象と説明。2004年生まれの人は2022年に18歳となるため、社会人1年目から新たな年金制度に含まれる。一方、それ以前に生まれた労働者については2025年以降の給与に適用される。同首相は今回、労組に配慮し、改革案の導入時期に柔軟性を付与。定年から17年以内の退職者についてはこの対象外になるとした。定年年齢は62歳で維持されるが、ボーナス付与などを条件に定年を超えて働くことを奨励する。
加えて、新制度では定年年齢まで働いた労働者は月額最低1,000ユーロの年金が保証されると強調。一部業種に与えていた特別な恩恵を撤廃する代わりに、特に女性が利益を得られるという。
AFP通信によると、10日のストには33万9,000人が参加。5日のスト初日の80万人超に比べると規模は大きく縮小したが、労組は12日と17日にも大規模ストを実施するよう呼び掛けている。11日はパリ地下鉄の16路線のうち、10路線が運休し、4路線が減便した。
フィリップ首相は今回の詳細発表に先立ち、「ストを突然終了させられるような魔法の発表をするわけではない」とけん制。一方で、早期退職の権利喪失や年金受給額の減額といった不利益を被る業種の労働者が強く反発していることについては、これらの変更は段階的に行われると念押しした。しかし、労組は妥協する姿勢を見せておらず、年金改革案が完全に撤廃されるまではストを続ける構えを見せている。[労務]
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。