ドイツの鉄鋼・エンジニアリング大手ティッセンクルップは21日、2019年9月通期の純損失が3億400万ユーロとなり、前期の6,200万ユーロから赤字が5倍近くに拡大したと発表した。鉄鋼関連など市況に左右される分野の業績が低迷したことや、事業再編コストが響いた。これを受け、過去6年で初めて通期配当を出さないことを決めた。
売上高は1%増の419億9,600万ユーロ。うちエレベーター・テクノロジー部門は5%増加した。部品テクノロジー部門は4%、インダストリアル・ソリューションズ部門は10%それぞれ増えた。インダストリアル・ソリューションズ部門は昨年10月の再編で造船子会社のティッセンクルップ・マリン・システムズ(TKMS)を切り離しており、TKMSは30%拡大している。一方、主力のマテリアル・サービス部門は6%縮小。欧州の鉄鋼事業は4%落ち込んだ。
グループの受注高は419億9,400万ユーロと1%増加。本業のもうけを示すEBIT(利払い・税引き前利益、特別損益除く)は8億200万ユーロと44%減り、これをベースとする利益率は1.9%と1年前から1.6ポイント低下している。
今期については、EBITが前期並みになると予想。また、独占禁止法違反の罰金や数億ユーロ規模の組織再編費用により、純損失がさらに拡大するとみている。
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