欧州の政治動向や経済情勢をテーマにした「EMBビジネスセミナー」(エコノミック・メディア・ブレティン主催)が5日、独西部デュッセルドルフで開かれた。外資系企業の進出サポート事業を手掛けるルーマニアのワイズ・ファイナンス・ソリューションズの宮垣雄貴氏が、東欧諸国の潜在性や投資環境を解説し、進出することで事業機会を創出できると伝えた。
宮垣氏は、中東欧諸国に進出する日本企業について◇安価な労働コストを追求するフロンティア型◇生産ラインの一部を中東欧に移転する生産シフト型◇安い賃金と高い技術開発力に着目する単独R&D(研究開発)型◇現地進出した日系企業をサポートする企業支援サービス型◇有望なマーケットとして注目する消費市場参入型◇中東欧または欧州全域の統括拠点を設立する地域統括型の6つの流れに沿って進化していくと分析。ルーマニアやブルガリア、セルビアでは大学でのIT(情報技術)関連の人材育成が盛んなことや、米コンピューター大手IBMをはじめとする世界的IT企業も拠点を置いていることから、技能型人材を活用する産業の進出先として適した潜在性があると指摘した。
また、ルーマニアに進出する日系企業として、NTTデータやジェイテクト(大阪市)、総合電動工具のマキタ(愛知県安城市)の事例を紹介。日系企業の進出数が38社にとどまるウクライナや、36社のブルガリア、94社のルーマニアの各国で利用できる投資助成制度を解説した。総括として、「限定的な交通網や発展途上の資本主義などが障壁となる可能性もあるが、技能型人材の育成環境の良さや重層的な助成体制などが進出を下支えする」と話した。
質疑応答では、参加者からの「ロシアの影響と共産主義の名残りに対するリスクについてはどうか」との質問に対し、国によって温度差はあるが、特にルーマニアについては親欧州連合(EU)体制で外資誘致に積極的だと説明。スロバキアの労働環境や東欧圏の賃金動向などを尋ねる参加者もおり、進出を見据えた具体的な質問が相次いだ。[日本企業の動向]
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