金融情報サービス会社IHSマークイットは4日、8月のユーロ圏総合PMI(購買担当者景気指数、確定値)が51.9ポイントとなったと発表した。速報値から0.1ポイント上方修正され、7月からは0.4ポイント上昇。景気の「改善」と「悪化」の境目である50ポイントを74カ月連続で超えた。
調査対象国のうち、ドイツは51.7ポイントと速報値から0.3ポイント上方修正され、前月からは0.8ポイント上がった。フランスは52.9ポイントと速報値から0.2ポイント上方修正。前月を1ポイント上回り、過去9カ月で最高を記録した。スペインは52.6ポイントと0.9ポイント上昇。アイルランドは7月から横ばいの51.8ポイントだった。一方、イタリアは50.3ポイントと0.7ポイント低下した。
ユーロ圏総合指数の新規受注は、輸出向けを中心とした製造業の需要不振が続きわずかな拡大にとどまった。雇用は、過去5年弱の増加基調を維持しているものの、伸びは2016年3月以降で最も減速。仕入れ価格の上昇幅は5月以降で最大となったが、出荷価格はわずかな上昇にとどまった。事業見通しは2013年5月以降で最低に沈んでいる。
■サービス業は独仏共に上昇
ユーロ圏のサービス業PMIは53.5ポイント。速報値から0.1ポイント上方修正され、前月を0.3ポイント上回った。国別では、ドイツが54.8ポイントと0.3ポイント上昇。新規受注は輸出向けが落ち込み、全体としての伸びは1月以降で最も減速した。雇用ペースは、2013年後半から続く拡大基調の平均をやや上回った。向こう12カ月の事業見通しは6カ月連続で落ち込み、2014年10月以降で最低に沈んでいる。
フランスは53.4ポイントと前月を0.8ポイント上回った。新規受注は上昇幅が過去9カ月で最も大きい。雇用は2017年1月から続く拡大基調を維持したものの、ペースは前月から減速した。スペインは54.3ポイントと前月から1.4ポイント改善。イタリアは1.1ポイント下がり50.6ポイントだった。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは、8月は前月に比べ改善したものの、9月も大きな変化は期待できず、第3四半期(7~9月)の域内総生産(GDP)成長率は0.2%かそれを下回る範囲にとどまると予想。欧州中央銀行(ECB)が停滞を食い止め需要回復を図る目的で、9月に量的緩和策を再開することに期待を示した。
■英は5カ月連続の分岐点超え
IHSマークイットによると、8月の英国サービス業PMIは50.6ポイントとなり、前月から0.8ポイント低下。5カ月連続で分岐点を超えたものの、長期平均の54.9ポイントは依然として下回っている。新規受注は、政治の先行き不透明感などを背景に、輸出向けと全体で共に伸びが失速。雇用の拡大ペースも5月以降で最も減速した。事業見通しは3カ月連続で悪化し、過去3年超で最低の水準に落ち込んでいる。
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