イタリアのマッタレッラ大統領は29日、先に辞表を提出したコンテ首相に新政権の組閣を要請した。28日には反体制派政党「五つ星運動」と中道左派・民主党が同首相の続投と新たな連立政権の樹立で暫定合意。かつての政敵が、イタリアの政治的安定と解散総選挙の回避に向けて手を組んだ格好だ。BBC電子版などが伝えた。
両党はコンテ氏の再登板で妥結したものの、他の閣僚人事や政策基盤での合意に向け協議を続ける必要がある。五つ星運動のディマイオ党首と民主党のジンガレッティ書記長(党首)はいずれも、国のために共通基盤を模索するとの決意を示した。同書記長は、前政権からバトンを受け取るのではなく、新政権は「新たなチャレンジ」を始めると意気込んでいる。
伊経済紙イル・ソーレ・24オーレによると、連立政権の政策草案には2020年度予算案の財政赤字を巡り、「社会の統合を促進する目的で」欧州連合(EU)に対して柔軟性を求める方針だ。
五つ星運動と共に前政権を担っていた右派政党「同盟」は、14カ月続いた連立を解消して10月にも解散総選挙を実施する狙いで、元老院(上院、定数315)に内閣不信任案を提出。ただ、コンテ首相が辞表を提出したことで採決は回避され、同盟を除外した新政権誕生の道筋がついたことで、同党のサルビーニ党首の思惑は外れたことになる。
五つ星運動と民主党による連立政権の任期は、総選挙の実施が予定されている2023年まで。しかし、民主党は昨年まで政権の座に就いており、既得権益に反対して有権者からの支持を伸ばした五つ星運動の批判の的だったため、持続性を疑問視する声もある。また、五つ星運動は党の公式ブログで、交渉妥結後も党員によるオンライン投票を実施し、承認を得る必要があるとしている。
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