欧州委員会は10日発表した夏季経済見通しで、今年のユーロ圏の実質域内総生産(GDP)が前年比1.2%拡大するとの見方を示した。前回5月時点の春季予測から変わっていない。内需には力強い回復が見られるものの、輸出は低迷が続いていると指摘している。
欧州委は、貿易関係の緊張の高まりと、それに伴う見通しの不透明さが、すでに低迷していた世界経済をさらに押し下げ、特に製造業に響くと予想。これに伴い、来年の成長率見通しを前回の見通しから0.1ポイント引き下げ、1.4%とした。
英国を除くEU加盟27カ国のGDPは、2019年の見通しは1.4%で維持する一方、2020年は1.6%へと0.1ポイント下方修正。EU加盟28カ国のGDPは、前回の予測通り今年は1.4%増、来年は1.6%増を見込む。
ユーロ圏のインフレ率については、今年も来年も1.3%にとどまると予想。春季予測からそれぞれ0.1ポイント引き下げた。EU28カ国では今年は1.5%、来年は1.6%と、こちらも共に0.1ポイント下方修正している。
今年のGDP成長率予測を国別に見ると、ドイツとフランスは前回と同じでそれぞれ0.5%、1.3%の伸びを見込む。イタリアも前回と変わらず0.1%増。スペインは2.3%増と、0.2ポイント上方修正された。オランダは前回と同じく1.6%の成長が見込まれている。ユーロ圏外の英国は今年と来年ともに1.3%と、前回から変わっていない。
欧州委のピエール・モスコビシ経済・財務・税制・関税担当委員は「見通しに内在する多くのリスクを考慮し、各国およびユーロ圏全体の回復力の一段の強化に向けた取り組みを加速する必要がある」とコメント。これを受け、欧州中央銀行(ECB)が7月の金融政策委員会でさらなる緩和策を打ち出す可能性もあるとみられている。[EU規制]
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