個人情報保護を監督する英国の独立公益法人ICOは9日、昨年発覚した米ホテル大手マリオット・インターナショナルの顧客情報流出問題を巡り、同社に9,920万ポンドの罰金を科す方針を発表した。ICOが欧州連合(EU)の「一般データ保護規則(GDPR)」違反を適用するのは、英航空大手ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)に続き2例目となる。
個人情報の流出は、マリオットが昨年9月、傘下のスターウッド・ホテル&リゾートの予約データベースがハッキング攻撃を受けたとのセキュリティー通報を受けて発覚。同社は2016年9月にスターウッドを買収したが、同データベースへのハッキングは2014年から行われていたとみられる。
ICOによると、予約データベースからは世界全体で約3億3,900万件の顧客情報が流出。うち、およそ3,000万件が欧州経済領域(EEA)31カ国の住人と関連しており、700万件が英国の住人絡みだった。名前や住所、パスポート番号、暗号化されたクレジットカード番号などの情報が盗まれたという。「マリオットはスターウッド買収時に十分なデューデリジェンス(買取事前調査)を行わなかった。システムの安全性を高めるための方策をもっと講じるべきだった」としている。なお、マリオットはICOの方針に異議を唱える機会が与えられており、これを行使する方針。異議を申し立てれば、ICOは慎重に検討した上で最終的な判断を下すことになる。
罰金額はマリオットの年商の約2.4%に相当する。GDPR違反を巡っては、ICOがBAに過去最高額となる1億8,339万ポンドの罰金を科したばかり。
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