世界最大級の航空宇宙関連の国際見本市、第53回パリ航空ショーが17日、パリ北郊のルブルジェ(Le Bourget)で開幕した。今年は三菱重工業傘下の三菱航空機(名古屋市)が、開発を進める小型旅客機「三菱リージョナルジェット(MRJ)」を「三菱スペースジェット」に改名して展示する。例年、米航空機大手ボーイングや欧州航空・防衛最大手エアバス・グループの受注合戦も注目されているが、エチオピアで3月に発生した米ボーイング「737MAX8」の墜落事故の余波を受け、今年はエアバスが受注件数を大きく伸ばしそうだ。
「スペースジェットM90」は、従来のMRJを発展させ、65~76席の3クラス仕様で米国のスコープクローズにも準拠するほか、シングルクラスでは最大88席まで拡張が可能。ローンチカスタマーである全日本空輸(ANA)には2020年の初号機納入を目指す。また、これをベースとした「スペースジェットM100」はコンセプトスタディー段階で、リージョナルジェット機の中でも最大の客室空間を誇る。今回のパリ航空ショーでは、同機のキャビンモックアップを展示し、公式ローンチが決定次第、今年後半にも発表する見通し。
エアバスはこの日、新型ナローボディー機「A321neo」の航続距離を伸ばした「A321XLR」の製造に着手すると発表した。最大航続距離は8,700キロメートルで、「A321neo」の最初の長距離版である「A321LR」からさらに15%延長された。同社は、米航空機リース会社ALCに、小型機「A220―300」50機と「A321XLR」27機を含む計100機を納入することで趣意書(LOI)を締結。レバノンのミドルイースト航空からも「A321XLR」4機を受注した。5月末時点で受注機数は536機に上る。また、マレーシアの格安航空エアアジアに納入する新型ワイドボディー機「A330neo」のお披露目もされた。
一方のボーイングは、新型ジェット機「777X」をお披露目する計画。ただ、3月のエチオピアでの墜落事故が尾を引き、4月末にはアラブ首長国連邦(UAE)ドバイ首長国の格安航空会社フライドバイ(flydubai)がボーイングの「737MAX」に代わり、エアバスの「A320neo」を調達することを検討しているもようだと報じられた。また、欧州連合(EU)は同型機の域内での運航を停止する指令を出したほか、第三国の航空会社による発着も禁止している。
なお、パリ航空ショー初日には、ピーチ・アビエーションが、来年に導入予定のエアバス「A320neo」など計10機向けに、防衛・通信機器や航空エンジンを手掛ける仏サフランと米複合企業ゼネラル・エレクトリック(GE)の合弁会社CFMインターナショナルと新型エンジン「LEAP―1A」の導入契約を締結した。同エンジンは、従来型より15%の燃費改善効果が見込めるほか、低騒音で快適性が向上する。
パリ航空ショーは、英国で行われるファーンバラ航空ショーと1年交代で開催される。前回2017年には48カ国の2,381社が出展し、約32万2,000人が来場した。今年の一般公開は21~23日。[日本企業の動向]
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