仏自動車大手ルノーは12日、年次株主総会を開催した。前会長兼最高経営責任者(CEO)のカルロス・ゴーン被告による重大な不正発覚と辞任後では初となり、今回は伊自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)との経営統合計画の破綻や、連合を組む日産自動車との関係性の複雑化など、株主が明確化を求める内容が多かったことから、株主からの質問が相次いだ。
今回の株主総会では、新たに就任したルノーのジャンドミニク・スナール会長ら一部取締役員の信任投票が行われ、いずれも可決。ゴーン被告に対する2018年の会長兼CEOとしての成果連動報酬を巡っては、ルノーの取締役会が反対を推奨したこともあり、反対票が89%近くに達して否決した。2019年の固定報酬以外を取り消すことについては、89.7%が賛成票を投じた。また、FCAとの経営統合に向けた交渉が失敗に終わった理由と背景や、日産との関係性についても説明と質疑応答がなされた。ウェブ中継はフランス語、英語、日本語で行われた。
ゴーン被告は、同じく会長だった日産自動車での金融商品取引法違反や会社法違反(特別背任)などの罪で起訴されており、現在は日本で公判前整理手続きが行われている。AFP通信によると、昨年11月の不正発覚後、ルノーの株価は55%近く下落。同社に15%出資するフランス政府は先に、同社がゴーン被告による1,100万ユーロ相当の不正支払い疑惑を巡り法的措置に出る方針だと明らかにした。
ルノーと日産を巡っては、日産の6月25日の株主総会で予定される指名委員会等設置会社移行のための定款変更を巡る議案決議に対し、ルノーが先に棄権する方針を示した。委員会のメンバー選任に自社の意向が反映されていないことを理由に挙げており、日産の株式43.3%を所有する筆頭株主であるルノーが棄権すれば、決議は難しくなる。
なおフィナンシャルタイムズによると、今年は昨年より2倍近く多い1,000人の株主が出席を表明していた。[日本企業の動向]
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