日産自動車は10日、6月25日の株主総会で予定される指名委員会等設置会社移行のための定款変更を巡る議案決議に対し、仏自動車大手ルノーが棄権する方針を示したと明らかにした。ルノーは、委員会のメンバー選任に自社の意向が反映されていないことを理由に挙げた。日産の西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)は、この動きがコーポレートガバナンス(企業統治)の強化に逆行するものだと遺憾の意を示した。
日産は、同社の前会長で、ルノーの会長兼最高経営責任者(CEO)も務めたカルロス・ゴーン容疑者の重大な不正発覚を受け、第三者委員を中心とする「ガバナンス改善特別委員会」を設置。ガバナンスの改善と健全なガバナンス体制についての協議を重ね、指名委員会等設置会社に移行することを取締役会において全会一致で決議した。
取締役会にはルノー指名の代表者も含まれ、その上で全員が賛同していたことから、西川社長は今回のルノーの方針に大きな驚きを表した。同時に、ガバナンス強化のための指名委員会等設置会社への移行の必要性について、理解が得られるよう最善を尽くすとしている。
指名委員会等設置会社に移行すると、取締役会の中に、社外取締役が過半数を占める指名委員会・監査委員会・報酬委員会の三つの委員会が設置される。ロイター通信は、ルノーが、各委員会ごとに最低でも1人か2人、自社指名の取締役を置くことを望んでいると伝えている。定款変更には、議決権の過半数を持つ株主が出席し、そのうち議決権の3分の2以上の賛成が必要となる。日産の株式43.3%を所有する筆頭株主であるルノーが棄権すれば、決議は難しくなる。[日本企業の動向]
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